Formal Club メンズ衣装の基礎知識

グローバル・スタンダードのフォーマル衣装を探求するFormal Club

知っておくと為になるメンズ衣装の基礎知識

モーニングコートやタキシードなどの礼装には、一定の決まりがありますが、普段着ているスーツにも紳士服特有の決まり事があります。 メンズ衣装の基礎知識があれば、行事によってうまく使い分けることができます。 グローバル化の時代に合った着こなしをすることが、現代の紳士のたしなみです。


コートの二つボタン

コートタイプは後ろ姿に二つボタン

メンズ衣装は大きく分けて、タキシードタイプとコートタイプの2種類あります。 コートといってもオーバーコートやレインコートではなく、「上から羽織るもの」という意味で、上着のことです。 モーニングなどコートタイプは、後ろにボタンが二つ横並びについています。上着の丈は長め、ズボンはゆったりめです。

(新郎用衣装のフロックコートも二つボタンですが、最近ではボタンのないものもあります。 ロングタキシードとフロックコートの区別が難しくなってきました)


襟の形

襟の形は大事な要素

礼装の多くは襟の形が決まっています。首周りの部分を「カラー」、胸元の部分を「ラベル」と言います。 モーニングとテールコートは、「ピークドラベル」(剣先襟)が決まり。 タキシードは「ショールカラー」(へちま襟)がスタンダードですが、ピークドラベルもよく使われます。 最近では、普通のスーツと同じ「ノッチラベル」のものも見かけるようになりました。 夜会の正装は、拝絹といって襟に光沢のある生地を使います。 顔が少しでも明るく見えるようにとの配慮で、ローソク時代のなごりと言われています。


シングルとダブル

上着のシングルとダブルの違い

スーツの上着にはシングルブレストとダブルブレストがあります。 シングルは1つボタンから3つボタン、ダブルは4つボタンと6つボタンが一般的です。 正礼装のモーニングとテールコートがシングルなので、ダブルは格下とする見方もありますが、スーツとしての上下はありません。 シングルは内側にベストを合わせることで、よりフォーマルになります。ダブルはベスト不要です。 上着がダブルならズボンの裾もダブルというのは俗説です。フォーマル衣装にダブル(折り返し)の裾は使いません。

(独身者はシングルブレストで、既婚者はダブルというのは誤解です。 年配者のほうが恰幅がよく、ダブルブレストが似合うことから、そういう見方が広まったのかもしれません)


ベントの種類

センターベントとサイドベンツ

上着の後ろ姿にある切れ込みを「ベント」と言います。真ん中で割れているのをセンターベント、 両サイドで割れているのをサイドベンツと言います(ベンツはベントの複数形)。 格の違いはないとされていますが、シングルブレストはセンターベント、ダブルはサイドベンツが多いようです。 ヒップが大きめの人は、ベントが開かないよう、ゆったりめの上着にするとよいでしょう。 礼装のタキシードは切れ込みのないノーベントが一般的です。


ベストの種類

ベストにも種類がある

ベストのデザインで最も目につくのは、襟のあるなしです。 襟付きのほうがクラシックで格上のイメージがありますが、一般的にはどちらでも構わないとされています。 次に目につくのはボタンの数です。もっともポピュラーなのは5つボタンです。 4つボタンにして、胸ぐりを広くとったものもあります。 タキシードに合わせるカマーベストは、胸ぐりを大きくしてあります。 英国式ではベストのボタンは一番下を外してもよいとされています。一番下のボタンの位置がわざとずらしてある場合もあります。故事に倣った習慣なので判断は各自の自由です。 「三つ揃え」は、厳密には上着・ズボン・ベストが共生地のことですが、違う生地のベストであっても一般には三つ揃えと言っています。


フォーマルなズボン

フォーマル衣装のズボン

日昼の正装モーニングとディレクターズスーツは、グレー縦縞のコールパンツを使います。 夜会の正装テールコートとタキシードは、ズボンの側面に光沢のある側章が付きます。 日ごろ穿かないズボンだから、非日常的でフォーマルな装いの象徴となるわけです。 フォーマル衣装(とくにコート)のズボンは、ややゆったりした仕立が普通です。 いまどきのスラックスと比べて太いと感じるかもしれませんが、モーニングにスリムパンツはアンバランスです。 フォーマル衣装のズボンの裾は、折り返しのないのが正式です。


立ち襟シャツ

立ち襟シャツの種類

フォーマルな装いのシンボルは立ち襟の白シャツです。これだけで多くの人がフォーマルさを感じます。 袖口を折り返さないシングルカフスと、折り返すダブルカフス(別名フレンチカフス)があります。 格式の違いはありません。ダブルカフスが正式とするのは俗説で、英国紳士はシングルカフスが定番です。 いずれも袖丈が長いので上腕にアームバンドを巻いて調節します。 首の真後ろにある背テープというループにネクタイを通せば上にズレません。
タキシードはシャツの貝ボタンが見えないように、スタッドボタンで留めるか、貝ボタンの見えない比翼仕立のシャツを使います。 両胸にヒダのついたシャツがお洒落です。ただし、テールコートはヒダ胸でないイカ胸スタッドボタン式が指定です。


カフリンクス

衣装と時間帯でカフリンクスを選ぶ

カフリンクス(カフスボタン)は、衣装と時間帯で使えるものと使えないものがあります。 日昼の慶事には白蝶貝のカフスを使います。黒や光り物は使いません。 一方、夜の正装は黒蝶貝かオニキス(黒曜石)が定番ですが、テールコートだけは白蝶貝が指定です。
正装以外なら夜は光り物やカラー石のカフスを使用してもよいとされています。 ただし弔事は黒で統一するのが決まりです。銀台の黒蝶貝かオニキスを使います。 袖がダブルカフスの場合は、カフスボタンの留め具の足が短いと使えないことがあるので、購入の際には注意が必要です。


ネクタイの種類

ネクタイの種類と使い分け

フォーマルな装いには、衣装と行事の内容に応じたネクタイが必需品です。 慶事には、白黒(またはグレー)の斜めストライプの棒ネクタイかアスコットタイが定番です。 弔事には黒無地の棒ネクタイを使います。たとえ黒でも弔事に蝶ネクタイは使いません。

慶事に白の棒ネクタイをするのは、日本人だけの特異な風習です。 シャツに溶け込み集合写真でノーネクタイに見えるなど、お奨めできない装いです。 タキシードは「ブラックタイ」の通称どおり黒の蝶ネクタイが定番ですが、 とくに格式を言う場でなければ、柄物やカラーの蝶ネクタイが使えます。 ただし、テールコートは白の蝶ネクタイが決まりです。


スカーフタイ

スカーフタイの由来

セーラー服やボーイスカウトの制服とは別に、スカーフをネクタイ代わりに使うことがあります。 結婚披露宴やパーティーで、新郎がスカーフタイで入場するシーンをよく目にします。 早い時間帯にタキシードを着用する場合、特徴のある拝絹の襟をストールで隠すのが紳士のたしなみでした。 時間になりパーティーが始まると、そのストールをネクタイ代わりに巻いたのがその始まりだと言われています。 気心の知れた仲間内の集まりなら許される範囲のお洒落です。 披露宴よりは二次会向きかもしれません。

(ストールをスカーフタイ代わりにするときは、ベストの下にはみ出ることがあります。 途中からシャツの中に仕舞いこんでおくとよいでしょう。だらしなく見える着こなしは禁物です)


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フォーマル衣装の世界は奥深いものがあります。順次加筆していく予定です。