Ｆｏｒｍａｌ　Ｃｌｕｂ　モーニングコートのページ

日昼の正礼装モーニングコート

朝から夕方まで、太陽の出ている時間帯に行なわれる行事に着用します。夏と冬で日没の時間が大きく変わりますが、目安は午後６時。それまでに終わる行事であれば、モーニングが最高礼装として着用できます。

結婚式など慶事のドレスコード

日本では父親の定番衣装

花嫁衣裳の主流がウェディングドレスになり、親族の衣装も洋装が一般的になりました。ウェディングドレスは教会式の正装だから、バージンロードを一緒に歩く父親も正装するのは理にかなった選択です。ご両家の格式を合わせるのであれば、新郎の父親もモーニングとなります。日昼の結婚式にふさわしい服装ですが、国内では日没後の披露宴にも着用を推奨する式場・ホテルが増えました。

黒ベストに白襟は日本国内だけ

貸衣装のモーニングは、まだ黒ベストが主流です。結婚式のときにはベストに白襟を付けるのが礼儀とされています。この風習は日本だけのもので、物のない時代のなごりと言われています。貸衣装店の多くが冠婚葬祭全般を対象にしているのも関係しているようです。海外では慶事のベストはグレーです。海外挙式に黒ベストは、白襟付きでも不相応なのでご注意を！

ネクタイは斜めストライプの慶事用

モーニングに合わせるネクタイは、慶事は白黒斜めストライプのものを使います。棒ネクタイでもアスコットタイでも構いませんが、蝶ネクタイは使いません。結婚式に白の棒ネクタイをするのは日本人だけです。モーニングに白タイは使いません。

シャツは立ち襟か普通襟か

シャツの色は白のみ。レギュラーカラー（普通の襟）が基本ですが、結婚式ではウイングカラー（立ち襟）を薦める式場が多いようです。袖はカフリンクス（カフスボタン）で留めるものを使います。袖はシングルでもダブルでも格式の違いはありません。ダブルカフスでないといけないというのは俗説です。日昼の慶事にするカフスは白蝶貝かパールで、黒や光り物は使いません。

シューズは黒の短靴

モーニングに合わせる靴は、一般的な黒の革靴です。日本では紐付きがフォーマルとされています。ロングノーズやブーツタイプは不適当です。靴下は、無地の黒・グレー・ネイビーのほかに、礼装用として黒とグレーのストライプがあります。

告別式など弔事のドレスコード

ベストとネクタイは無地の黒

喪主や葬儀委員長など主宰者にあたる人は、モーニングにするのが弔問客に対して最も丁寧な対応とされています。ベストは上着と共生地の黒を着用します。シャツは普通襟の白で、カフスは銀台の黒蝶貝かオニキス。ネクタイは弔問客同様、黒の棒ネクタイ。ポケットチーフは黒色のものがなければ外します。日昼の正装だから通夜には使えません。

欧米では親族は黒・弔問客はダークグレー

日本の葬式では、親族・弔問客ともに黒一色ですが、欧米では黒の喪服は親族のみ。一般の弔問客はダークグレーのスーツに黒ネクタイが普通です。葬式に限ってはブラックスーツが親族の正装として通りますが、黒一色の日本では見分けがつきません。縦縞のコールズボンが主宰者の目印として効果的です。

フロックコートとモーニングコートの違い

現在のモーニングコートが定着する前は、日昼の正礼装はフロックコートでした。違いは、上着がアールカットされているかどうかです。フロックコートの上着は、前合せが真っ直ぐ下に降りています。ズボンはグレー縦縞のコールパンツですが、前合せはダブルブレストが主流でした。モーニングコートは朝の散歩着として登場しました。散歩といっても馬に乗ります。前合せがアールカットされていたほうが都合がよかったのか、フロックコートは一旦廃れます。

フロックコートは新郎用衣装として復活

モーニングコートに正装の座を譲ったフロックコートは、軍隊の制服などで使われる程度でした。復活したのは、結婚式の新郎用衣装です。モーニングでは高い料金が取れないからでしょう。ブライダル業界が寄ってタカって復活させました。コールパンツではなく共生地のズボンにして、昼夜兼用を謳い文句にしました。前合せをシングルブレストにし、飾りボタンか無釦にして着流す形が主流です。モーニングに替わる前の日昼の正礼装とは別物と考えるべきでしょう。